エネルギーパスの見方と解説
お客様にお出ししているエネルギーパスについて、当然お出しするときにご説明はするのですが、内容が難しくって聞いているときには分かったつもりだったんだけど、もう一回説明して下さいとか、WEBページを見たんですけど、エネルギーパスの表とかグラフがいっぱい出てきて一見分かりやすそうなんだけど、詳しくみてみると「?」が結構あるので教えてくれませんか?といった問い合わせを頂くようになりました。何度でもご説明は致しますが、家でWEBで見れた方がいつでも見直せるということで、ここでご説明させて頂きます。順を追って、何が書いてあるのか、お客様の図面をそのままに、断熱性能と換気・空調・給湯・照明設備をそれぞれに設定し①「世界標準の住ま居るの家」と②低炭素認定基準をクリアする、日本でいう最高の性能を持つ省エネ住宅「低炭素認定高断熱住宅」と、③新築住宅の6割以上を占める、低炭素認定をクリアできない「一般新築住宅」と、④日本国内の90%を占める昭和55年以降築の「既存住宅」それぞれについて順を追ってご説明致します。
建物の概要
ここは読んで字の通りなので、余りご質問もこないことろです。吹抜があったり小屋裏があったり、天井高が高いと床面積より大きな面積になります。それに応じて気積も変わってきます。確認申請の延床面積(床面積)や登記の床面積とは異なり、エネルギー計算専用の床面積を算出します。空間の面積がエネパスには必須となります。発電量は太陽光パネルを搭載しているときに、その発電量の予想値が表示されます。建設地、方位によって数値が変わってきます。今回はお客様の建築予定の建物をそのまま載せているので、①~④まですべてのお宅に大容量10.2kWhもの太陽光発電が取り付けられるものとして計算しています。
1㎡あたりの必要エネルギーの比較
グラフ1が、一番のエネルギーパス「エネパス」の肝です。1㎡あたりの基準は建物の概要に記載の面積です。確認申請や登記の床面積とは異なります。表1にはそれぞれの項目別のエネルギー量が示されています。
必要エネルギー・消費エネルギー・CO2排出量の比較
必要エネルギーは前述しました。CO2は二酸化炭素の排出量です。
建物性能
ここを詳しくみていくと、それぞれの建物の性能がわかります。断熱性能や設備機器の選定により数値が変わります。それでは比較してみましょう。
用途別エネルギー需要
①世界標準の住ま居るの家:合計 13,710kWh
- 冷房:18% 2,508kwh
- 暖房:39% 5,306kWh
- 換気:2% 331kWh
- 給湯:34% 4,706kWh
- 照明:6% 860kWh
②低炭素認定高断熱住宅:合計 27,856kWh
- 冷房:6% 1,729kWh
- 暖房:73% 20,458kWh
- 換気:0% 103kWh
- 給湯:17% 4,706kWh
- 照明:3% 860kWh
③一般新築住宅:合計 36,739kWh
- 冷房:7% 2,466kWh
- 暖房:77% 28,315kWh
- 換気:0% 103kWh
- 給湯:13% 4,706kWh
- 照明:3% 1,149kWh
④既存住宅:合計 50,535kWh
- 冷房:6% 2,817kWh
- 暖房:82% 41,259kWh
- 換気:0% 97kWh
- 給湯:9% 4,706kWh
- 照明:3% 1,656kWh
ここで比較して頂きたいのは、用途別エネルギー需要が占める割合(%)ではなく、その根拠となる必要エネルギー量です。①住ま居るの家だけ、全熱交換型第1種換気システムという設備を使用し、他の②~④は排気だけ機械を利用する第3種換気としています。換気による必要エネルギーは減りますが、換気は大きく熱を損失します。全熱交換型の換気システムは、換気による熱損失を防ぎます。問題は、換気による熱損失と、換気システムの必要エネルギーの差がどちらが有利かということです。高性能な全熱交換型の換気システムなら、必要エネルギーが小さく済みます。なので、暖房の必要エネルギーが①と②~④で大きく異なるのです。①:5,306kWh→②:20,458kWh→③:28,315kWh→④:41,259kWhと、②と③がさほど変わらないのに、①だけ群を抜いて小さなエネルギーで暖房がまかなえることが分かります。それが、何でなのかが分かるのが、次の・・・
部位別熱損失:どこからどれだけ熱が逃げているのか
※熱橋:ここは木造住宅には余り関係ないところなので、②③④とも飛ばします。
①世界標準の住ま居るの家:熱損失計 176W/K
- 外壁:31% 55W/K
- 床:6% 11W/K
- 屋根等:12% 21W/K
- 開口部:29% 52W/K
- 換気:22% 38W/K
②低炭素認定高断熱住宅:熱損失計 411W/K
- 外壁:22% 91W/K
- 床:24% 101W/K
- 屋根等:11% 45W/K
- 開口部:16% 64W/K
- 換気:27% 110W/K
③一般新築住宅:熱損失計 571W/K
- 外壁:20% 116W/K
- 床:19% 111W/K
- 屋根等:10% 58W/K
- 開口部:21% 122W/K
- 換気:29% 164W/K
④既存住宅: 熱損失計 777W/K
- 外壁:18% 140W/K
- 床:15% 120W/K
- 屋根等:9% 70W/K
- 開口部:21% 165W/K
- 換気:36% 283W/K
ひとつづつ丁寧にみてみましょう。ここも占有率(%)ではなく、熱損失量を比較します。数値は小さい方が高性能です。
冷暖房熱負荷・日射取得熱量
グラフ5は左目盛りが必要エネルギー量(合計すると各冷暖房の合計値となっています)、下の目盛りが月です。グラフ6も同様、左目盛りが取得熱量、下の目盛りが月です。日射熱取得量はよしずやすだれオーニングやたてす、レースカーテンさえも設置しない条件で計算しています。実際は冷房負荷が大分減ります。
冬の予想平均室温
平均室温ということに注意して下さい。人がいない部屋を暖めない日本の家では、無暖房の部屋と間欠暖房(人がいるときだけ暖房すること)とは温度差があります。これがヒートショックを招くのです。間欠暖房では、人がいない夜間など無暖房になるので、人がいる間は室温を20℃に設定していても、断熱性能の低い家では、暖房を止めたとたんに寒くなっていくのが分かります。
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