熊本地震からみえた地震に強い家のつくり方

熊本地震では、耐震等級2の住宅でも全壊した建物があった

数々の地震を経験してきた日本の住宅。昭和53年に発災した「宮城県沖地震」(東日本大震災の前に起きた大地震)を機に「新耐震基準」という現在とほぼ同じ耐震性能が法律で義務づけられました。現在の耐震改修などの基準もこの性能を確保することを目的にされています。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物は「確認申請」という手続きで、この「耐震性能」が確保されているか設計図書により審査されるので、昭和56年以降の建築物は阪神淡路大震災で建物の耐震性の高さが証明され、以降の地震においても倒壊率が際立って減少しました。

住宅における耐震化の流れ

  • 昭和56年 新耐震基準制定 震度6強~7でも倒壊しない程度
  • 平成7年  阪神淡路大震災 → 新耐震基準で建てられた建物は倒壊せず。耐久性基準追加。
  • 平成9年  欠陥住宅の社会問題化
  • 平成12年 住宅の品質確保促進法 耐震性能等の表示制度(2000年)

    経験と勘の家づくりからエンジニアリングへ変革

  • 平成17年 耐震偽装問題(姉歯事件)
  • 平成20年 住宅瑕疵担保履行法 建築基準法 建築士法改正 罰則強化

    建物に保証がついた、ハコとしての住宅の制度が完成

  • 平成21年 長期優良住宅の普及促進法
  • 平成23年 東日本大震災  → 建築の法令の改正は無し

と住宅についてはもうどこで建ててもしっかりした建物が建てられるのが標準になりました・・・と思っていたのですが違うみたいです。

2017年7月7日に開催された福井コンピュータさんのセミナーで衝撃のお話を聞きました。

講師を務められたM’s構造設計事務所代表の佐藤氏は、中越地震、中越沖地震を直に経験された新潟に事務所を構えられている木造住宅の構造の分野では一家言ある先生で、阪神淡路大震災から昨年の熊本大地震にいたるまで現地に足を運び調査をされるような、木造住宅の構造についてかなりこだわりのある先生です。その先生が我々住宅事業に携わる建築士・営業マン・経営者向けに「4号特例」という、住宅のような小規模建築物の確認申請における「設計図書の省略」が大きな問題を生んでいる実情を最近の事件を元に語られました。

埼玉県では火災の被害者を救済する目的で始まり、建築費の安さを前面に打ち出し圧倒的なシェアを誇る埼玉県の「県民共済住宅」において、建築基準法の基準を満たしていない建物が多数発覚するという、耳を疑う事件がありました。半公的機関だから利益を追求せず「安かろう悪かろうでは無く地震にも強い」を前面に打ち出している「県民共済住宅」が耐震基準に満たない住宅を多数建築して引き渡していたのです。会見で県民共済住宅の社長が「今までの地震で事故の発生はないため、すぐに倒壊につながるとは考えづらい」と発表されたことに、被災地で様々な倒壊した建物を見てきた佐藤氏は『大きな地震が埼玉では起きていないのに倒壊のおそれが無いとは”何を根拠に!!”』と怒りを持って語られていました。

さらに、岩手県北上市で建物の所有者から市に「建物が揺れる」との相談から発覚した事件があり、市が問題の建物が建築された時期の12棟を調査したところ、12棟の内11棟で基準法に満たない設計ミスが発見されたそうです。設計責任者の建築士は市の調査に「強度の計算をせず、経験に基づいた感覚でやってしまった」と謝罪したそうです。この「経験に基づいた感覚で」というところに佐藤氏は問題があると仰られていました。

ちゃんと一生懸命やった!

佐藤氏が言われるには、一生懸命ちゃんと設計をした!とどの設計者もいうそうです。で何を「ちゃんと」設計したのか聞くと答えられない設計者がたくさんいると言うことです。「ちゃんと」やる設計とは、ただ普通に法令に依る設計図書の作成をして申請し、その通りに造られているか監理することです。「4号特例」は耐震の検討をしなくていいことではありません。”申請図書から外されているだけ”という違いをあまりに勘違いしている建築士・設計者が多いそうです。

最低限の小規模建築物に必要な「ちゃんとやる」構造の検討とは、

  1. 建築地の積雪量・風量等を確認する。
  2. 見つけ面積・床面積と屋根材の種類と上記から、必要壁量を算出する。
  3. 四分割法による壁配置のバランスを考慮し、必要壁量を満たす。
  4. 柱頭・柱脚金物をN値法等法令による計算により算出する。
  5. 地盤強度による基礎の選定を行う。

一生懸命やるのは当たり前。お客様は「ちゃんとやってもらう」のが当たり前だと思っているのに、「ちゃんとやってない」建築士、会社が結構いることに警笛を鳴らされていました。念のためお客様自身で「ちゃんと」何をしたか確認する必要がありますね。

ちなみに断熱性能や省エネ性能について、現在は規定する法律はなく、2020年の法制化を目指しています。

多くの建築士は、「4号特例」をいいことに耐震の検討(計算)をしていない!

この発言にはビックリしました。確かに県民共済住宅や北上市で起きた事件は、建築士が法令に基づいた計算をせず、さらにそのことを確認しない会社の体制、行政の審査基準、「4号特例」自体に問題があるんだ!との佐藤氏の意見です。確かに私が以前お世話になった大手ハウスメーカーで設計(プラン)の打合せをする設計者・建築士は構造の検討は一切していませんでした。そのハウスメーカーでは、吹抜の大きさや開口の広さ、2階の配置等プラン(間取り)に様々な制約があり、それによって構造強度を検討する必要がないぐらいに壁量を充足させていたのだと改めて気づかされました。そのハウスメーカーでは住宅展示場で打合せをした図面を基に、プレカット担当者が構造部材を配置していたのです。だからハウスメーカーの建築士は、申請自体も第三者の建築設計事務所に依頼をするので、法令に基づく業務は実は一切していないということです。何でもそうですが、数をこなし毎日行うことで「経験と勘」は養われるのですが、住宅を主に設計(申請)している建築士・デザイナーはその経験値さえ積んでいません。ハウスメーカーを始め、地元の工務店、建築家やデザイナーを称すプランの打合せに同席する設計者は、確かに「構造設計の経験を積んでいない」と言い切ってもいいくらい構造を知らない、やっていないといっていいでしょう。

佐藤氏が言うには、お客様とプラン(図面)打合せがほぼほぼ終わった段階で「このお客様は予算があるから構造の検討をしてほしい」と構造設計の依頼が来るそうです。そもそも「予算があるから・・・」(全部の家を検討しないの?)という理由に不信感を抱いたり、プランに無理があって窓(開口部)の縮小や柱の追加設置をしないとだめだと告げたりすると、「今さらお客様にそんなこといえない」となることがあるそうです。そういった設計者は被災地に訪問して、倒壊した建物をよく見るべきだと厳しいお話でした。

熊本地震で倒壊した建物を設計した建築士の証言

平成28年に発災した熊本地震は過去に例をみない強さの地震が複数回、局地的に集中して起こりました。

その被災した建築物の中には、全壊した建物、半壊した建物、多少損壊した建物、ほぼほぼ無傷の建物と様々ありました。佐藤氏が倒壊した建物を設計した建築士から色々と話を聞いたようです。そこでは一様に皆がこう答えるそうです。「私が設計した建物が倒壊するとは思いもしなかった。」そもそも地震のあまりない九州地方ですから耐震についての認識が薄いのは否めないでしょう。しかし話から「ちゃんと」設計していない建物が多数あることを発見したそうです。

中大規模建築物においては「構造計算」は当たり前だから、構造がしっかりあってその先にデザインがあるのですが、こと小規模建築物である「住宅」においては、その当たり前が完全に抜けてしまってる設計者・建築家があまりにも多いと佐藤氏は指摘しています。

「阪神淡路大震災時も熊本地震でも、2000年以降に建築されても、住宅は未だに倒壊しているんです!」と熱く語られていました。

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熊本地震の経験から耐震等級3の住宅のススメ

熊本地震の経験から佐藤氏は「耐震等級3」の建物ならまず安心だと言われました。熊本地震で震度7が2度襲う観測史上例のない災害に見舞われた熊本県益城町で、町内の住宅計1万312棟のうち9割以上の1万155棟が被害を受け、損壊がなかったのはわずか157棟だけで、町の調査によると26日現在、住宅の全半壊は5507棟(全壊2686棟、半壊・大規模半壊2821棟)で全体の過半数。一部損壊も4割超の4648棟に上る。店舗や小屋など住まい以外の建物も、8613棟のうち全半壊が2898棟、一部損壊が2988棟で、約7割が被害を受けたそうです。

益城町には耐震等級3の建物が全部で16棟あり、内無傷の建物が14棟、少し手を入れるだけですむ建物が2棟だったそうです。耐震等級2の建物は全壊もありました。それらから、耐震等級3なら「命には全く問題なく」「すぐに生活が再開できる」ということが実証された!と佐藤氏は言われていました。

耐震等級3を取得(確認)するには、長期優良住宅の認定を受けるときに審査してもらう方法が一番手っ取り早くメリットがあります。耐震等級3の取得には、「ちゃんとやる」設計に加え、

  1. 吹抜を面積参入するなど床面積の計算方法を厳しくしたものを基準とする
  2. ちゃんとやる耐震設計より1.5倍強くする壁量を満たす
  3. 横架材(梁)の検討も行う
  4. 基礎の検討も行う

等が必要になります。1.5倍強くすると柱の引き抜き力も大きくなり金物もより多く必要になるし、基礎もより強くする必要が出てきます。それによる大幅なコストアップをいう建築業者や設計者が結構居ますが、設計も工事もする住ま居るは断言します。「ほとんど変わりません!」

プラン(間取り等)に大きな制約があるのでは?とお思いになるかもしれませんが、ちゃんとやってきた住ま居るは断言します。「ほとんどありません!」「ちゃんと」やったことがない建築士・設計者は「いっぱい制約がある」というかもしれません。まさにそう語ることが「ちゃんと」やってない証言かもしれませんね。

家づくりにおいて、デザイン、省エネ性能とともに「構造」はとても大事な要素です。ところが、“構造は難しい”という先入観からか、住まい手も作り手も知識が浅く、構造の安全性に対する意識が薄いのが現状です。1995年の阪神淡路大震災では、構造計算していない木造住宅が軒並み倒壊しましたが、先日の熊本地震でも同じような惨状が見られました。佐藤氏は”木造住宅は昔も今も変わらず倒壊している現状”を認識して下さいと締めくくられました。

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住ま居るの家は耐震等級3が基本-構造の検討だけでもお任せ下さい

当時使っていた構造計算ソフト

住ま居るでは「経験と勘の家づくりからエンジニアリングへ変革」された2001年ころから、全ての建物に許容応力度の計算による構造の検討を行ってきました。15年以上延べ400棟以上になるのでしょうか。2007年に旧グレー本(木造軸組住宅の許容応力度設計)が出たときにはむさぼるように読みました。ソフトもすぐにバージョン2となり、入力等のミスやソフトの不具合を始めスムーズに適宜アップデートを行って頂き設計者であり開発者のT先生には本当にお世話になりました。

私が全て設計します

少し前までCAD はJWWと VectorWorks 、構造計算はTaowood、平面図の打ち合わせ用にMADRID、日射確認にGoogleEarth とSketchUpそれにエクセル等をフル活用して設計業務を行っていました。省エネのQ値計算は手計算でとても大変でした。

住ま居るの家は設計の自由度が本当に高いです。ハウスメーカーや工務店、建築業者のように設計者が構造を丸投げするのではなく、私が意匠(デザイン)も構造も担当するので、ギリギリの所まで無理も利いてしまうからです。ここら辺は佐藤先生には怒られてしまうかもしれません。だから吹抜け、スキップフロア、大開口、ロフト、小屋裏収納、高い天井高などおよそ個人の住宅で特別に叶えたい事は構造もデザインして提供しております。

設計の自由度が本当に高い住ま居るの家

吹抜け、スキップフロア、大開口、ロフト、小屋裏収納、高い天井高などおよそ個人の住宅で特別に叶えたい事は構造もデザインして提供しております。

現在は住宅専用CADの福井コンピューター製ArchiTrendZEROを採用しています。専用なので各図面がほぼ連動し今はほとんど出戻りが無く重宝しています。平面図から詳細平面図、立面図、屋根伏図、壁量計算、外皮計算、許容応力度計算、構造図、基礎伏図、シックハウスの検討、天空率、法規計算等全て一つのプログラムで完結なのでとってもラクしています。

そして現在では、壁量計算による耐震等級3の検討を基本としています。住ま居るの家は大分自由度が高いので、横架材等の検討で許容応力度の計算を行っています。プランによって基礎も許容応力度の計算をしたり、当然全て許容応力度の計算を行う事もあります。しかし設計に要する時間が、全て許容応力度の計算だと3倍ほどかかってしまうので、費用の面からもお客様は、壁量計算による耐震等級3の検討を希望されます。

壁量の計算の耐震等級3と許容応力度の計算の耐震等級3とどっちがより強いかって?それは本当に必要な壁量を算出する許容応力度に軍配が上がります。しかし先の熊本地震で耐震等級3をとっていれば、生活に支障なく住めることが分かったので、絶対的に必要だとは思わなくなりました。一部の構造設計者がいう耐震等級4や5の性能が欲しい一部のお客様もいるにはいるのでそこらへんは普通に対応致します。

連携機能として、建物の燃費を算出する「エネルギーパス」へ外皮性能をはき出せるのでありがたいです。そして構造では、中川先生が作成されたWallStatへ構造図をはき出して実物大耐震実験が行えます。このWallStatというプログラムは過去に起きた地震のデータを入力すると、計画された建物がその地震力にどのように反応するのか、耐震実験を行うことが出来るプログラムです。阪神淡路大震災も東日本大震災も、過去最大の破壊力を持った熊本地震も実験できるのです。

  • 多彩な手法で基本設計

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